PEARL STORY 対馬の海と人がつくる北村の真珠 PEARL STORY 対馬の海と人がつくる北村の真珠

職人の技術と熱意、対馬の穏やかな海が育む、北村の真珠 職人の技術と熱意、対馬の穏やかな海が育む、北村の真珠

世界中の人々を魅了する日本の養殖真珠。その美しい輝きは、豊かな海と自然四季の変化に富む気候なしにはつくり得ないものでした。昔ながらの天然アコヤ貝を用い、こだわりの自社一貫養殖で育まれる上質な真珠は身につける人と調和し、\気品あふれる輝きを放ちます。遥か大陸へとひろがる対馬の海と、真珠を愛する人々の熱意と技、そして奇跡とも呼ぶべき偶然が実を結ぶことによってほかにはない深い光沢をたたえた北村の真珠が生まれるのです。 世界中の人々を魅了する日本の養殖真珠。その美しい輝きは、豊かな海と自然四季の変化に富む気候なしにはつくり得ないものでした。昔ながらの天然アコヤ貝を用い、こだわりの自社一貫養殖で育まれる上質な真珠は身につける人と調和し、\気品あふれる輝きを放ちます。遥か大陸へとひろがる対馬の海と、真珠を愛する人々の熱意と技、そして奇跡とも呼ぶべき偶然が実を結ぶことによってほかにはない深い光沢をたたえた北村の真珠が生まれるのです。

万葉集にも登場する防人の島、豊かな自然あふれる、対馬。 万葉集にも登場する防人の島、豊かな自然あふれる、対馬。

福岡から海路で132km、西に朝鮮半島を、東に壱岐島、九州本土を望む対馬は、九州最北端の玄界灘に浮かぶ、長崎県に属する国境の島です。朝鮮半島へは約50kmと九州本土よりも近い位置にあるため、古くから日本の守りの要「防人(さきもり)の島」として重要な役割を果たしてきました。

対馬海流の影響で昔から豊富な海の幸に恵まれ、対馬中央部の浅茅湾(あそうわん)は、数々の小島と複雑な入り江を持つリアス式海岸で古来より天然の良港として知られてきました。島の周りには緑深い山々が連なり、その特徴的な自然景観から1968年には壱岐対馬国定公園に指定されています。また対馬にのみ棲息する動植物も多く、ツシマヤマネコは国の天然記念物です。

真珠養殖が行われる対馬湾の様子1 真珠養殖が行われる対馬湾の様子1

真珠養殖が行われる対馬湾の様子2 真珠養殖が行われる対馬湾の様子2

1921年、対馬での真珠養殖を開始。 1921年、対馬での真珠養殖を開始。

対馬はもともと天然のアコヤ貝が生息する真珠づくりに適した環境でしたが、本格的な真珠養殖は1921年に北村幸一郎(現社長の高祖父)が三重県から進出し、着業したことからはじまりました。

対馬に養殖場を開設した最大の理由は、リアス式海岸という独特の地形でした。波が低く穏やかな海面は、きめが細かく良質な真珠をつくるのに最適だったのです。また本土から100km以上離れているため人口が少なく生活排水で海が汚染されにくいこと、また近年になって国定公園に指定され豊かな自然が未来へと受け継がれていくことも、美しい真珠をつくり続けるための追い風となりました。

1921年にはじまった対馬での真珠養殖は、その後独自の技法を模索し続けながら歴史を重ね、養殖規模も日本最大級を誇るまでに発展しました。現在では島の主要産業のひとつとなり、「対馬真珠」の名を世に知らしめています。

真珠養殖が行われる対馬湾の様子1 真珠養殖が行われる対馬湾の様子1

純国産天然アコヤ貝へのこだわり。 純国産天然アコヤ貝へのこだわり。

美しい真珠をつくり出すためには、まず優れた母貝が必要です。近年は海の環境も大きく変化していますが、私たちは常に純国産天然アコヤ貝を母貝に用いることにこだわり、2年から3年のときをかけて稚貝からじっくりと育てています。

稚貝の採取には大きく分けてふたつの方法があり、そのひとつが、アコヤ貝が生息する湾にロープを張って杉の葉を吊るし、杉の葉に放卵された稚貝が海流に乗って還ってきたところを採取する昔ながらの方法です。実はこの方法はきわめて効率が悪いのですが、優れた真珠をつくるためには欠かせない安定した稚貝が確保できることから、今もなお伝統の技法を頑なに守り続けています。

もうひとつが、近代真珠養殖に欠かせない人工採苗と呼ばれる方法です。純国産天然アコヤ貝を親とする卵を人為的に孵化させ飼育するのですが、その際にも高品質の真珠を安定的につくり出すために、何代もかけ合わせることをせず一代限りの採苗を旨としています。

自社一貫で行われる真珠の製作工程・イメージ 自社一貫で行われる真珠の製作工程・イメージ

自社一貫養殖と“共細胞”から生まれる北村の真珠。 自社一貫養殖と“共細胞”から生まれる北村の真珠。

現代の真珠養殖においては、母貝の飼育まで、核入れから浜揚げまでと、分業制をとることが主流なのですが、わたしたちは納得のいく真珠をつくり出すために、あえて自社一貫管理による養殖をおこなっています。稚貝から育てることで、いちばんいい状態で核入れ作業ができ、そのことが優れた真珠を数多く生み出すことへとつながるからです。

実際の核入れ作業では、貝殻を球状に研磨した核と、真珠質を形成するために小さく切った細胞(貝の外套膜)とを一緒に母貝に入れるのですが、その細胞には別に育てた貝から切り取る「長細胞(ながさいぼう)」にくわえ、核入れする母貝から切り取って入れる「共細胞(ともさいぼう)」を用いています。

真珠の色目が白く揃って非常に効率がよいのが「長細胞」。では、なぜ私たちが「共細胞」にこだわるのか。それは「共細胞」を用いることで、真珠層の巻きが格段によくなり、最上級の真珠があらわれる可能性が高まるからです。効率を度外視して美しさを追求する、それは海の宝石と呼ばれるにふさわしい一珠をつくりだすために欠かせないこだわりなのです。

対馬湾での真珠養殖作業風景・イメージ 対馬湾での真珠養殖作業風景・イメージ

真珠養殖が行われる対馬湾の様子3 真珠養殖が行われる対馬湾の様子3 真珠養殖が行われる対馬湾の様子3

対馬の冷たい海がもたらす、奇跡の光沢。 対馬の冷たい海がもたらす、奇跡の光沢。

「海水の温度が低く、栄養分が少ない」これが対馬の海の特徴のひとつです。一見すると真珠の成長にとって好ましくない環境が、実は対馬真珠ならではの美しさをつくりあげるカギとなっています。

対馬の真珠は、海が低温・低栄養ゆえに成長が遅く、通常ならば12ヶ月で出荷できるところを、19ヶ月かけてじっくりと育てられます。その結果、真珠層が何層にも重なり「巻き」がとても厚くなります。また冬場の海水温がぐんと下がることで、真珠層が緻密に巻かれるため、表面がきめ細やかで深い光沢をたたえた真珠が生まれるのです。それはまさに、対馬の海がつくりあげる奇跡と言えるでしょう。

こうして19ヶ月の時をかけて、夏を2回越して生まれる真珠は、通常の当年物に対して「越物(こしもの)」と呼ばれ、市場でも高い評価を受けています。

北村真珠の生産工程・イメージ 北村真珠の生産工程・イメージ

歴史に培われた伝統と技術で、真珠の美を追求。 歴史に培われた伝統と技術で、真珠の美を追求。

稚貝の飼育から浜揚げまで、最大で約4年。すべて人の手作業で行われる真珠養殖。百年を超える時をかけて培われた知恵と技術をもってしても、すべての母貝が真珠を生むわけではなく、納得のいく真珠となれば、さらにその数が限られてくるのが現実です。それは、海には一日として同じ日がなく、真珠の誕生には人智を超えた奇跡の瞬間が必要だからです。

だからこそ浜揚げされたアコヤ貝のなかに、納得のいく一珠の真珠を見出した時の喜びは格別なものがあります。真珠養殖の使命は、つまるところ美しい真珠を生みだすこと。地球温暖化にともない海の環境も大きく変化していますが、伝統と経験に裏打ちされた技術を大切に守りながら、これからも対馬の海とともに高品質の真珠をつくり上げる努力を重ねてまいります。

北村真珠の生産工程・イメージ

真珠ができるまで

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